参照解を初めて外部化した。前3本は自分で答えを書いていて、その答えが3回間違っていた。
結果は積算と正反対で、権威を渡しても正答率が上がらなかった。
4候補を「公的基準があるか」ではなく 権威が確定させた正解の集合が公開されているか で比べた。決め手はこれ一本で付いた。
| 候補 | 基準 | 照合先 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 通関HS分類 | 実行関税率表・通則・部注類注 | 税関 事前教示回答(外部・権威・日付つき) | 採用 |
| 給与・社会保険 | 労働法令・保険料額表 | 疑義照会・事務取扱事例集(断片的) | 次点 |
| 診療報酬レセプト | 医科点数表(令和8年度改定) | 電子点数表に算定ルールはあるが、症例→レセプトの正解集合が非公開 | 参照解が自作になる |
| 消防設備点検 | 消防庁告示第14号 | 「この建物→この点検結果」の公開集合が無い | 参照解が自作になる |
1件ごとに 貨物概要(性状・材質・用途・包装・製法)と 税番9桁 と 分類理由(通則を名指しで引用)が揃っている。こちらは選ぶだけで、書かない。
着手して最初に分かったのがこれで、実験の設計が変わった。
下段は K001 を走らせてから判明した。着手時は上段(81万字)を全量と考えており、関税率表解説296万字と分類例規60万字を勘定に入れていなかった。詳細は「出題側の欠陥」。
積算では「条文を渡す/渡さない」が実験の操作として成立した。通関では成立しない。9,654品目の関税率表を丸ごと渡せないので、armB→armC の差は「知識の有無」ではなく「検索できるかどうか」になる。
sekisan-bench の結論「知識を渡す価値は、その知識の有名度に反比例する」は、知識が渡せる大きさであることを暗黙の前提にしていた。ここでその前提が外れる。
sekisan は3腕(条文なし/条文あり/条文+検査器)で切ったが、知識と実行を1本に束ねていた。
| 腕 | 記憶 | 条文 | 関税率表 | コード実行 | 検査器 |
|---|---|---|---|---|---|
| armA | ○ | — | — | — | — |
| armB | ○ | 通則のみ | — | — | — |
| armC | ○ | 全部 | 全部 | ○ | — |
| armD | ○ | 全部 | 全部 | ○ | ○ |
処理年月日で絞れるので、モデルの知識カットオフ(2026年5月)より後に処理された事例だけを取り出せる。学習データに入りようがない事例である。
層は揃えてある(通則3の要否 × 漏洩帯の6層が同数)。条文はHS2022で両年とも同一。参照解の税番は両方とも2026年8月1日版に実在することを確認済み。したがって K001 と K002 の差は暗記の効果に帰せられる。
ただし片側だけの検定である。差が出なければ「暗記していない」と言えるが、差が出たときに暗記以外の説明(2年で貨物の傾向が変わった等)を排除しきれない。
貨物概要は税関が分類を決めた後に書いた要約なので、関税率表の言い回しに翻訳済みならベンチとして何も測れない。答えの語が貨物概要にそのまま出ている割合を実測した。
| 漏洩帯 | 件数 | 中身 |
|---|---|---|
| 0.8以上 | 0件(0%) | 該当なし |
| 0.5–0.8 | 27件(11%) | リキュール→2208.70「リキュール」。一般名が項名と同じ品 |
| 0.2–0.5 | 67件(28%) | — |
| 0.2未満 | 147件(61%) | 「保温パック」のように関税率表の言葉に一度も触れない品 |
中央値0.12。0.8を超える事例は1件も無い。翻訳済みではないので成立する。高漏洩帯は実質「名前を引くだけ」なので層として分けて数える。
run.sh は採点の前に較正(税関の回答が満点を取るか)と敵対テスト(採点器が騙されないか)を通す。どちらも初回で落ちた。
1件の照会に対し、税関が4つの税番を返していた。セットを通則3(b)で括らず、脱臭除湿剤/結束バンド/メッセージカード/封筒に分けて分類した事例。登録番号をキーにすると3件が消える。
98.04 / 100 → 100 / 100 キーを詳細ページIDに変更較正の門が無ければ、61件のはずの課題が58件で走っていた。較正は参照解の中身は検査できないが、構造は検査できる。
通則3が要る事案は全体の13%しかない。素朴に「一致件数÷全件」にすると、全件「通則3は不要」と黙っているだけで87%取れる。回答が無いことが「通則3を引いていない」と読まれていた。
17.4 / 100 → 0.0 / 100 不作為を無得点にし、2クラスの再現率の平均にsekisan で単位未換算の調書が 57.7 点を取った穴と同型。敵対テストを書くまで気づかない類のもの。
ほかに 6桁まで全問正解で統計細分だけ捏造した調書は 73/100 を取る。9桁が実在しなければ NACCS が受け付けないので実務ではゼロ。合計点とは別に失格として立ててある。敵対テストは8ケース全通過。
当たっても外れても、そのまま公開する。sekisan S001 では3つ立てて3つとも外れた。
合計点より深さで割ったほうが中身が出る。国際共通の6桁と、日本固有の統計細分3桁を分けて数える。
| 腕 | 類 | 項 | 号(6桁) | 細分(9桁) | 実在しない税番 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| armA 記憶のみ | 51 | 48 | 48/61 | 25/61 | 25件 | 78.0 |
| armB 通則のみ | 48 | 44 | 43/61 | 23/61 | 29件 | 73.2 |
| armC 表+実行 | 49 | 46 | 46/61 | 42/61 | 0件 | 85.5 |
| armD +検査器 | 48 | 43 | 43/61 | 39/61 | 0件 | 83.3 |
6桁では4腕とも横並び(43〜48)。9桁だけが倍近く開く。armA と armB は61件中25件・29件で存在しない税番を作っている。形は9桁で、申告した時点で弾かれるものである。armA の 78.0 は armC の 85.5 と 7.5点しか違わないが、armA の調書は4割が申告できない。
| 課題 | 条文なし | 条文あり | 差 |
|---|---|---|---|
| sekisan S004 木躯体 | 69.4 | 100 | +30.6 |
| sekisan S005 所要数量 | 61.3 | 100 | +38.7 |
| kanzei K001 HS分類 | 78.0 | 73.2 | −4.8 |
通則は分類の手続きを定める規定で、どの項に入るかの情報を持たない。「知識を渡す」は単一の操作ではない。手続きの知識と内容の知識は別物で、前者だけ渡すと成績が下がる。
K001 を走らせて、渡していない権威が8割あったことが判明した。税関の分類理由が引いている出典を数えると、関税率表解説47件・部注類注20件・通則10件・国内分類例規3件。49/61 が解説か例規で決まっていた。解説296万字と例規60万字を足し、検査器の欠陥3件を直して armC・armD を走らせ直した。
| 腕 | 資料 | 号(6桁) | 細分(9桁) | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| armC K001 | 81万字 | 46/61 | 42/61 | 85.5 |
| armC K001b | 440万字 | 43/61 | 42/61 | 83.8 |
| armD K001 | 81万字 | 43/61 | 39/61 | 83.3 |
| armD K001b | 440万字 | 42/61 | 39/61 | 81.4 |
答えが変わったのは armC 8件・armD 9件。どちらも直った4件・壊れた4件。壊れた側は、いずれも解説の該当条を正しく引用したうえで誤った結論に達している。
解説なし 8466.93-000(正解)→ 解説あり 8458.11-000。引いたのは第8458.11号の解説「コントロールユニットが加工機械とともに提示されない場合であっても…数値制御式加工機械とみなされる」。条文は実在し、引用も正確で、結論だけが税関と違う。
armC は「解説が決め手になった」と10件を名指しして報告したが、答え合わせすると正解は4件だった。
権威を渡すことは、正答率を上げる操作ではなかった。分類は「どの記述が最もよく当てはまるか」の判断である。権威の量が増えれば、どの候補にも、もっともらしい根拠が見つかるようになる。そのぶん自信は増すが、正しさは増えない。
audit の指摘は45件(K001)と36件(K001b)。税番の変更はどちらも0件、通則の記載変更が1件ずつ。欠陥を直しても同じで、armD は両回とも armC を下回っている(39対42)。
K002(2024年処理)は公開から1年以上あり学習に入りうる。K001(2026年6–7月処理)はカットオフ後で入りようがない。暗記が効いているなら K002 が高く出るはず。
| 腕 | K001 9桁 | K002 9桁 | 素の差 | 類を揃えた差 |
|---|---|---|---|---|
| armA 記憶のみ | 25/61 | 17/61 | +8 | −0.008 |
| armB 通則のみ | 23/61 | 15/61 | +8 | +0.005 |
| armC 権威440万字 | 42/61 | 42/61 | 0 | −0.096 |
| armD +検査器 | 39/61 | 46/61 | −7 | −0.240 |
素の差では armA・armB とも「カットオフ後のほうが8件高い」——暗記の逆向き。ただし品目の類が揃っていない(31類 対 21類、共通13類)ので、共通の類だけに絞ると −0.008 と +0.005 でほぼ完全にゼロ。素の +8 は類の構成で説明がつき、カットオフでは説明がつかない。
armA の言葉:「64類注4で甲・本底の材質を決める靴、61類注6の身長86cm超、詰物入りチョコレートを1806.31でなく1806.90に落とす論点——これらは頻出パターンとして知識化されているが、個別の回答番号や具体的な数値に対する記憶は無い」
権威を持つ腕は K002 で当てている(−0.096/−0.240)。だが同じ事案を記憶だけで解く armA・armB に差が出ていないので、暗記には帰せられない。armC と armD は独立に同じ説明をしている——K002 の品目構成が、分類例規に文字どおりのチェックリストがある型に偏っていた。
履物6件は全て64類の例規で決まった。アフターブーツの4要件、ダンスシューズの3要件、平底靴の「溝が1mm以上ならすべり止め成型と認定して差し支えない」。貨物概要が例規の要件を一字一句なぞっている。効いたのはモデルの記憶ではなく、配布した資料の被覆率だった。
| 課題 | 資料 | 9桁 | |
|---|---|---|---|
| K001 | カットオフ後 | 81万字 | 42/61 |
| K001b | カットオフ後 | 440万字 | 42/61 |
| K002 | カットオフ前 | 440万字 | 42/61 |
課題を替え、資料を5.4倍にして、3回とも同じ点数。中身は違う(K002 では履物とチョコレートを例規で拾い、別のところで落としている)が、総数が動かない。
K002 で armD が初めて armC を上回った(46 対 42、「その他のもの」への逃げも 0 対 1)。armD の報告では、audit にかける前に siblings を先回りで回した段階で約10件の答えが変わっている。audit 自体の指摘48件では税番の変更は1件だけだった。
検査器は「提出前の一括検査」としては効かず、「候補を並べる道具」として効いた。ただし armD の道具は3回とも中身が違う(K001 は部注の対応表が壊れ、K001b は path の親落ちが687品目、K002 は41品目)ので、39→46 の伸びを課題の違いだけに帰することはできない。
同一課題・同一条件で armC を5回。全課題 n=1 だったので、追試プロトコルの「平均ではなく最悪値で判定する」が一度も成立していなかった。
armC 42 と armD 39 の差は、armC 自身のばらつきの中に完全に収まる。「検査器を持つ腕のほうが悪い」という読みは n=1 の産物だった。
この分解は、先に4条件(armC/armD × 解説なし/あり)で出した「資料に関係なく解ける34/資料を増やしても解けない15/資料が動かす12」とほぼ同じ数字になった。別々のやり方で切って同じ形が出ている。
| 業種 | 条件 | 5回の答え |
|---|---|---|
| 積算 S005 | 規則を渡さない | 4通り |
| 積算 S005 | 規則を渡す | 1通り(1文字違わず同じ) |
| 通関 K001 | 権威440万字を全部渡す | 25%が毎回ちがう |
0511.99-900×3/1602.90-269×1/0410.10-000×1(正解は 0410.10-000)。ある回は第4類注6の加工の列挙に「煮沸」が無いことを根拠に第4部へ送り、別の回は「食用に適するか」を根拠に05.11へ送り、また別の回は0410.10に留めた。3回とも条文を引用しており、3回とも引用は正しい。
規則を渡せば決定論的になる、は業種に依る。積算の規則は答えを一意に決めるが、通関の規則は決めない。通関の権威は「どの記述が最もよく当てはまるか」の判断材料であって、判断そのものではない。だから材料をいくら増やしても、判断は揺れる。
5本の作業場を共有スクラッチパッドの下に並べたため、直下に前の回の腕が残した build_answers.py(K001の課題ID61件と9桁税番49種を持つ)があり、前回の解答が各 run から到達できる位置にあった。run2 は報告に「前の run の t.py があったので破棄した」と書いており、作業場の外を見に行ったことが確認できる。
丸写しは無い(前回 armC との一致率 87〜95%、100% の run は無い)。汚染は必ず「答えが揃う」向きに働くので、観測された25%の割れは下限である。
sekisan では3課題連続で腕が採点側の誤りを見つけた。通関では3回の実行で15件出た(下表は前半9件)。関税率表のパーサは4回直している。最後の1件はこちらの作業ミスで、tariff の平文テキストをパーサ修正前に生成したまま再生成しておらず、318税番が同じ号の中で区別できない状態のものを配っていた。ただし性質が違う。積算の3件は参照解の誤りだったが、今回は1件も参照解に触れていない——全て、腕に渡した資料と検査器の欠陥である。参照解を外部化した効果がここに出ている。
| # | 見つけた腕 | 中身 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 1 | 較正 | 登録番号が一意でない(1照会に4回答) | 事実 |
| 2 | 敵対テスト | 空の提出が 17.4/100 を取る | 事実 |
| 3 | armC・armD | 関税率表の path が丸括弧番号の親を落とす(1,417品目) | 事実 |
| 4 | armD | 部注の対応表が21行中17行で存在しないファイルを指す | 事実 |
| 5 | armD | explain の兄弟が6桁前方一致 | 事実 |
| 6 | armD | audit の通則3検査が「及び」に反応し半分以上空振り | 事実 |
| 7 | armD | 貨物概要が完全一致する2組は採点できない | 誤り |
| 8 | armC | A/B・(a)(b)・〔1〕を扱わず親が落ちる。ダッシュは相対深さ | 事実 |
| 9 | armD | kaisetu のゼロ詰め漏れで第1〜9類の例規が永久に引けない | 事実 |
| 10 | armD・armC | 平文テキストをパーサ修正前に生成したまま再生成せず配布。318税番が同じ号の中で区別不能 | 事実 |
| 11 | armD | (イ)(ロ) 半角カナ括弧・I/II を階層マーカーに入れておらず親が落ちる | 事実 |
| 12 | armD | OTHER が「その他の」の部分一致で特掲細分に誤爆 | 事実 |
| 13 | armD | kaisetu が類のファイルを持たないとき黙る(notes は警告する) | 事実 |
| 14 | armD | notes 98 が「第None部」と表示する | 事実 |
| 15 | armC | PDF抽出で図版が全て落ち、図が本体だった例規2本が判読不能 | 事実 |
10番はこちらの作業ミスで、生成物を JSON と平文の2つ持ちながら片方だけ手で作って放置していた。armC は自己申告で「兄弟の並び順は平文を grep した」と書いており直撃している。4番・9番・13番は同じ壊れ方で、「無いのか、引けていないのかが分からない」。sekisan S006 の「手で並べた一覧は、増えると必ず腐る」を、別のリポジトリで2回繰り返した。